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まだまだこれから!シニア世代が活躍し続けるためのヒント

  • 執筆者の写真: MIKIHIKO NISSATO
    MIKIHIKO NISSATO
  • 2月20日
  • 読了時間: 5分

はじめに

先日、ある新聞の世論調査で、「70歳以降も働きたい」と回答した人が最多だったにもかかわらず、長く働くための技能向上に対する関心は低いという結果が出たそうです。この結果に、私はとても残念な気持ちになりました。


そこで、今回のブログでは、ミドル、シニア世代の方々がより充実した働き方を実現し、自らの未来を切り開くためのヒントをお伝えしたいと思います。 「働かないおじさん・おばさん」という偏見

現代の日本社会では、シニア世代の労働者に対する見方が変化しています。「働かないおじさん・おばさん」や「弱体化するミドル・シニア」といった否定的なラベリングが散見され、同世代の私としては腹立たしく感じることもあります。しかし、本当にそうでしょうか?


49歳から50歳の誕生日を迎えた途端に、あるいは55歳になったとたんに、その人の能力が急激に落ちるでしょうか?そんなことはあり得ません。むしろ、多くの企業や人事制度を設計する側が、シニア労働者の持つ潜在的な価値や能力を見過ごしているのではないでしょうか。


50歳を超えると、多くの企業で役職定年や出向、給与の減額など、シニア労働者にとって不利な制度が適用されます。これらは企業側の決定であり、本人の意思とは無関係です。その結果、シニア世代の労働者は不公平感や不満を抱え、仕事への意欲を低下させてしまうこともあるでしょう。むしろ、こうした制度が「働かないおじさん・おばさん」や「弱体化するミドル・シニア」という現象を生み出しているのではないでしょうか?


しかし、日本社会には「長いものには巻かれろ」という風潮があり、多くのシニア労働者がこうした制度に従わざるを得ないのが現状です。一方で、日本は少子化の影響で労働力人口が減少しており、シニア世代の労働力はこれまで以上に重要になっています。そのため、定年制度を撤廃したり、定年を引き上げたりする企業も出てきています。


とはいえ、多くのシニア世代が依然として厳しい労働環境に直面しているのは事実です。それならば、私たちシニア世代ができる範囲で、自らのキャリアをより充実させる方法を考えなければなりません。 ジョブ・クラフティングの可能性

そこで注目されるのが 「ジョブ・クラフティング」 という概念です。ジョブ・クラフティングとは、自らの仕事の範囲やタスク、対人関係を主体的に調整し、自分の能力や興味に合わせて仕事を再設計することを指します。このプロセスを通じて、労働者は仕事への意義や満足感を高めることができるといわれています。


「クラフト (craft)」という言葉には、「職人技」「手作り」という意味があります。クラフトビールやクラフトコーラといった言葉を耳にする機会が増えていますが、「ジョブ・クラフティング」もまた、職人のように手作り感を持って仕事を設計することを意味します。


東京都立大学の高尾教授は、ジョブ・クラフティングについて次のように述べています。


「自分のひと匙を入れ、自分の持ち味を活かすことで、働きがいを自ら高めることができれば、それは試してみる価値がある。こうした自分起点の仕事への働きかけがジョブ・クラフティングである。」


また、オランダ・ティルブルフ大学のDorien Kooij教授は、年齢と仕事の関係、キャリア開発、モチベーション理論、従業員のウェルビーイングに関する研究を行っています。Kooij教授の研究によると、ジョブ・クラフティングは 職務適合性、エンゲージメント、雇用可能性(エンプロイアビリティ)、パフォーマンス など、さまざまな面でプラスの影響をもたらすことが証明されています。つまり、シニア世代がジョブ・クラフティングを実践することで、より充実したキャリアを築き、活躍の場を広げることが可能なのです。


ジョブ・クラフティングの利点は多岐にわたります。


  1. 強みや興味を生かして仕事を再構築できる → 充実した職業生活を実現

  2. 仕事の意義を自分で見出せる → エンゲージメントやモチベーションが向上

  3. 主体的なキャリア形成が可能 → 将来への不安が減り、雇用可能性が高まる


この考え方は、シニア世代に限らず すべての労働者 にとって有益です。自らの経験や知識を生かしながら、新たなキャリアの可能性を探ることは、個人の成長だけでなく、社会全体にも貢献することにつながります。


最後に

シニア世代が充実した職業生活を送るためには、 ジョブ・クラフティングが重要な鍵 となります。自分の仕事を主体的に形成し、調整することで、シニア労働者は キャリアの充実と社会への貢献 を両立させることができるのです。そのためには、 能力・技能の向上は不可欠 です。リスキリングやアップスキルに積極的に取り組み、向上心を持ち続けることが大切だと感じています。私自身も、そのための努力を惜しまず、学び続けていきたいと思います。


また、企業側にも、シニア世代のキャリア形成を支援する 制度や環境の整備 が求められます。具体的には、


  • ジョブ・クラフティングを促進する職場文化の醸成

  • 労働者が自らの仕事をカスタマイズしやすいフレームワークの提供

  • 継続的な学習やスキルアップの機会の創出


といった取り組みが必要です。


シニア世代の労働者には、「働かないおじさん・おばさん」や「弱体化するミドル・シニア」といった 不当なレッテル を貼られることがあります。しかし、私たちは 名誉を挽回し、かけがえのない存在 となることを目指して、共に努力していきましょう!


私が伝えたかったのは、 まさにこのこと です。


 
 
 

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